2002年大会INDEX
2002年日本平和大会国際シンポジウム パネリスト発言

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ジョアンヌ・コマフォード
(アメリカ)

アメリカフレンズ奉仕委員会

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 来賓のみなさん、実行委員会のみなさん、ご参加のみなさん、こんにちは。
 この平和大会に参加できて光栄です。マサチューセッツ州の人々、アメリカフレンズ奉仕委員会(AFSC)ニューイングランド地域事務所、そしてアメリカ全土でイラクに対する戦争に反対してねばりづよくたたかっている友人たちからのごあいさつをおくります。

 今年6月、AFSCの「良心のキャンペーン」の一環として、私は6人の仲間とともにAFSC・クウェーカー代表団に加わり、12年間にわたり過酷な経済封鎖が続けられているイラクを訪問しました。イラク滞在中、UNICEFイラク事務所のカレル・デ・ローイ所長、国連石油食料交換計画のトゥン・ミャット事務次長など、国際NGOや人道援助機関の代表たちと会いました。教師、医師、親たち、芸術家、タクシー運転手、エンジニア、学生そしてこどもたちなど、受け入れてくれたイラクの市民と対話し、フセイン政権のタリク・アジズ副首相、前国連大使のサイード・アル・マサウィ氏などとも懇談しました。
 私たちの訪問の目的は3つありました。事実調査、人道援助、そして証言者となることです。代表団にはもっとも最近の国連報告が渡されましたが、それは、アメリカ主導で国連が課した経済制裁が解除されないために引き起こされている、おそるべき人道的惨禍を示していました。
 これまでに5歳以下の75万人のイラクのこどもたちが経済制裁のために死亡し、毎月、4千人から5千人がさらに死亡しています。その70パーセントは治療や予防が可能な病気で死んでおり、多くは汚れた水が原因の病気によるものです。これに直接関連していることですが、下水処理工場の破壊と停電のため毎日50万トンの未処理の汚水がイラク国内の河川に流れ込んでいます。生き残った子どもたちの50パーセントは発育阻害があるか、衰弱しているか、栄養不良であり、石油食料交換計画でまかなわれる月々の一人当たり食料配給量は、人間一人の平均必要量の3分の2しかありません。しかし、イラク国民の90パーセントはこれがないとまったく飢えに瀕してしまうのです。飢餓はこどもの体をむしばむだけでなく、心も荒廃させてしまいます。
 UNICEFは、イラク国内の8000の学校が緊急に補修が必要であり、1990年からの人口増加にあわせてあと5000の学校を建てる必要があると報告しています。こどもたちは現在、一日の授業の3分の1あるいは2分の1の時間しか学校にいくことができず、それでも一学級は60人かそれ以上の規模で、崩れそうな危険な校舎で、ろくに教科書も鉛筆も学用品もない状況で学んでいるのです。
 私たちの訪問のうち人道援助の要素は、AFSCの「イラク国民のための良心のキャンペーン」活動を進めることに焦点が絞られました。これは、人道援助・草の根の組織的努力であり、アメリカ国内および世界の人々に、イラクへの経済制裁を破り寄付をすることで市民的不服従非暴力行動に参加するようよびかけるものです。これによりイラク国内の破壊された浄水施設の再建を進めます。
 訪問の終わりごろ、私たちはボデジャという小さな村を訪れました。学校が一つ、モスクが2つあるだけの村の4000人の村民は、1990年以来、飲料に適した水を手に入れることができないままでした。村のある長老は、「汚い水のために、こどもたちのこころもからだも衰弱している」と語りました。実際、イラクのこどもは平均して年に15回、大きな下痢をするそうです。しかし、私たちが訪問した6月のその日ボデジャで始まった浄水施設の建設が完了したことを今日、みなさんにお伝えできるのは大きな喜びです。多くの子どもたちが、生まれて初めてきれいな水を飲むことができるのです。AFSCは、次に復興にとりくむべき地域を探しているところです。

 代表団のもう一つの「証言」活動の部分は、体験的なものというよりもっと力強いものかもしれません。「証言(witness)」というのはクウェーカーの言葉です。これは、他の人の現実を深く自分のものとして経験する、という意味です。アメリカ人として、私は目の前で、手が触れるほどの距離で、世界で自分の国が行っている蛮行が人々にどんな結果をもたらしているかを目撃しました。これは、勇気あるイラクのこどもたち、女性、男性たちが、生き延びるための日々の戦いを私たちと分かち合ってくれたおかげで可能になりました。それ以来、この現実をできる限りたくさんの人々と分かち合うことが、私の仕事になったのです。
 私たちはアブドゥラという女の赤ちゃんの母親に会いました。彼女は妊娠中から栄養不良に苦しみ、出産前になんの医療を受けることもできず、未熟児で低体重の女児を生みました。アブドゥラはお乳を吸う力もなく、汚い水に溶かした粉ミルクだけで命をつないでいました。白血病にかかっているティーンエージャーたちが、必要なガンの治療薬が届くのを何週間も待っているのも見ました。私たちが会った医師は、「患者たちが次から次へと重いガンにかかって死んでいくのを見ながら、自分の手が鎖で縛られているような気がしていたが、それは湾岸戦争中にイラクにアメリカや多国籍軍がばらまいていった300トンもの劣化ウラン弾のせいだということがわかった」と語りました。劣化ウラン弾(DU)の半減期は45億年もあります。イラク国民の45パーセントがDUに被曝しており、ガンの発生率が急上昇し、もっとも重篤な症状が早期にあらわれるようになる、と医師たちは予想しています。私たちは、1990年に米軍の爆弾によって408人の就寝中の女性やこどもたちが即死したアメリヤ・シェルターを訪れました。爆弾は屋根を吹き飛ばして、彼女たちを一瞬にして焼き殺したのです。アメリヤで、私たちは、被爆者の代表団がイラクの遺族たちと悲しみをともにしてささげた美しい折鶴の束を見ました。ある男性は、自分たちは動物になったような気がする、飛行禁止区域ではアメリカとイギリスによる空爆が続き、ふたたびアメリカ主導の戦争が起こるかもしれないとおもうと、悲しみと不安が体中におしよせてくる、と語りました。
 これほど非人道的な状況にあるイラクの人々が、憎しみと恨みに駆られて、彼らの店先や家や病床を訪れる私たちアメリカ人に、怒りをぶつけるのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはまったくありませんでした。イラクの人々が、私たちとブッシュ政権をはっきり区別して扱ってくれたことに、私は深く感動し、感謝しています。実際、私たちは何度も、「なぜアメリカ政府は、あなた方と同じことを私たちにしてくれないのか?」と尋ねられました。

 友人のみなさん、ブッシュ政権は恐ろしい道を歩もうとしています。ジョージ・ブッシュの終わりのない対テロ戦争は、今止めることができなければ、世界全体を巻き込み、2001年9月11日の大きな悲劇を口実に、すでに痛めつけられた国への先制攻撃を正当化し、アメリカの軍事費を増大させ、国連を足蹴にして、国際条約を踏みにじって全米ミサイル防衛を推進し、ぞっとするような「アメリカ愛国法」をもって国内の反対を押さえ込むでしょう。今年はじめ、ブッシュ大統領が大胆にもそして恥知らずにも世界支配を求める国家戦略を発表したとき、みなさんもきっと、多くのアメリカ国民同様、恐怖を感じたのではないでしょうか。
 「デモクラシー・ナウ!」という番組のホストを務めているエミー・グッドマンというフリーのラジオ・ジャーナリストが、アメリカ国内でブッシュ政権に反対しているが、その声が伝えられていないすべての人々を指して、「われわれは沈黙する多数派ではなく、沈黙させられている多数派だ」と述べました。実際、私たちの数は、イタリアやイギリス、そしておそらく東京ほど多くはないかもしれませんが、私たちの声は決して小さくはありません。2002年10月26日、アメリカ全土から10万人がワシントンに集まり、行進を行いました。サンフランシスコでも数千人がデモを行いました。それから1週間後にジョゼフ・ガーソン氏や友人たちが開いた集会には1万5千人以上が集まりました。
 議会でブッシュ大統領が提案した決議が審議されていたとき、数十万人が抗議ハガキ、抗議電話運動、集会、デモ、ティーチインなどを行いました。議員の話では、地元の市民からかかってきた電話の98パーセントから99パーセントが戦争に反対するものだったそうです。昨日、私の住む地域では、大学生が授業をボイコットして、大きな討論集会を開いたそうです。帰国したら私も、12月10日の国際人権デーに全米約50都市で予定されている全国一斉市民不服従行動に向けて、組織を続けるつもりです。
 大企業に支配されたメディアで報じられていることとは違って、ブッシュは終わりのない戦争を行えという信託を国民から受けてはいません。悲しい現実ですが、私の国の多くの人々、とくに貧しく、有色人種の市民は、選挙権を奪われていたり、選挙登録をしていません。なおかつ、2002年11月5日の中間選挙で投票したのは、登録有権者のうちの35パーセントに過ぎなかったのです。その投票した35パーセントの半数を少し超える数の人々が、戦争を支持する議員に一票を投じたわけです。戦争賛成の声が圧倒的とはとても言えません。

 私は、現在ブッシュ大統領を相手取って行われている訴訟の原告代表となっているロバート・バード上院議員、バーバラ・リー、故ポール・ウェルストーン、デニス・クチニッチ下院議員など、議会内でたたかっている人々に感謝しています。

 長く進歩的な活動を続けているノーム・チョムスキーは、「戦争で真っ先に犠牲になるのは、真実だ」と言いました。ブッシュは広告会社を使って、サダム・フセインを巨大な悪魔のように描き出してきましたが、その影で覆い隠してきた真実がたくさんあるのです。実はアメリカこそがフセインに武器を渡してアメリカの代わりにイランと戦わせたという真実。アメリカ経済が膨大な企業のスキャンダルの重みで土台から崩れかけているという真実。また、対イラク戦争は1千億ドル以上の戦費がかかるという真実。それはつまり私の住む、ホームレスが増大し学校の財政危機にあえいでいるマサチューセッツ州の小都市が1千万ドルを負担することを意味します。また、イラクが核兵器能力などもっていないという真実。43日間の湾岸戦争時の空爆でアメリカがイラクの市民インフラ施設を標的にして一つ一つ破壊していったという真実。そしてこの戦争が本当は世界第2の石油産出国を確保し、搾取するためのものであり、民主主義や自由や、まして平和を達成するものではもちろんない、という真実です。

 私は39歳ですが、生まれてこのかた、自分の国が平和だった時期を知りません。日本全国から、また海外からこの会議に集い、権力に対して真実を語り、力を合わせて今とは違った世界を可能にするためにたたかい続けている皆さんに、心から感謝を申し上げます。

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イ・ユジン
(韓国)

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「韓国における米軍の軍事行動と環境」
韓国緑色連合 国際担当 

1.はじめに 

 南北朝鮮間の平和的なムードが確立されれば、米軍の役割も変わらなくてはなりません。今まで、在韓米軍により、数々の犯罪と環境破壊がおこなわれてきました。米軍のゆゆしき態度が、韓国のメディアによりしばしばとりあげられるようになって以来、韓国の人々は米韓の不公平な関係について声を上げるようになりました。アメリカ軍国主義の覇権主義的戦略が、朝鮮統一とより現実的な防衛費を実現する上で障害になっています。
 米軍が駐留しているために、私たちは、環境破壊と人権侵害の現実的な脅威にさらされています。韓国には現在、総面積60、700エーカーにわたる93の基地に、37、000の兵力が駐留しています。1945年の米軍配備から現在にいたるまで、環境汚染はたえずありましたが、米軍はその影響を無視してきました。


2.米軍による環境被害
 

 戦争、訓練などの軍事行動、そして基地は、あらゆる面で持続可能性という考え方に反しています。1990年以降、米軍基地で45の環境汚染事例が起こっていますが、そのうちの24件は、過失あるいは老朽化したパイプラインによるオイル漏れによるものです。オイル漏れは、土壌と地下水を汚染します。その復旧と汚染除去は、困難であり、経費がかさむものです。

 ・ケース1.ヨンサン米軍基地オイル漏れ
※USFK(韓国駐留米軍)、ソウルにおける別のオイル漏出の責任を認める(2002年10月23日、コリア・タイムズ)
※USFK基地のオイル汚染を認める(2002年10月7日、コリア・タイムズ)
 米軍は、ハンナンドンの団地の駐車場で発見されたオイル漏れは、宗教修養センターの老朽化したパイプからのものであることを認めました。韓国緑色連合(GKU)は、10月15日、第8米陸軍基地施設からのオイル漏れが、駐留地や団地駐車場付近の土壌を汚染してきたという申し立てをおこないました。GKUの活動家がその土壌に火を近づけると、発火しました。この事故は、米軍基地オイル漏出事故についてGKUが記者会見を行った9日後に起きました。そのうちの1件は、ケロシンを使用する従来の暖房システムにかわる地熱暖房システムの掘削工事中に見つかり、もう一件は、体育施設改築作業中に発見されました。土壌汚染の確認により、ヨンサン基地に沿って走行している6号線ノクサピョン地下鉄駅の地下水のオイル汚染源についての論争に決着をつけることが期待されています。ヨンサン米軍基地の主な区域では、地下水と土壌の汚染が広がっています。韓国政府も米軍当局も、これらの事実を隠そうとしています。

 ・ケース2.在韓米軍メヒャンニ(梅香里)爆撃演習場
 メヒャンニの村民たちは、今なお在韓米軍とロッキード・マーチン社とたたかっています。半世紀にわたって、爆撃訓練がおこなわれ、11名の村民が命を奪われました。メヒャンニの村民たちは、殺され、病気にされ、彼らの生活の拠りどころは破壊されつつあります。GKUは、韓国の土壌の平均値の13倍、5.37mg/kgの砒素が演習場に存在することを、明らかにしました。カドミウムは、平均値の37倍、銅は13倍、鉛は145倍であることがわかりました。メヒャンニの土地は、重金属により非常に汚染されています。

 ・ケース3.ハン川へのホルムアルデヒドの漏出
現行の不公平なSOFA(地位協定)のもとで、この種の環境被害について私たちができることはありません。例えば、部下に480本分のホルムアルデヒドをハン川に流すことを命じたとされた人間(マクファーランド氏)は、その後昇格しました。彼は今なお霊安室で働き、ホルムアルデヒドを取り扱っています。


3.新たな脅威、LPP(土地およびパートナーシップ計画)


 米軍はすでに、韓国でミサイル防衛(MD)政策の構築を始めています。2001年7月18日、現在米軍により使用されている4000万ピョンの土地(約1億3200万平方メートル)を今後10年間に返還する計画を発表しました。土地およびパートナーシップ計画と呼ばれるこの計画のもとで、アメリカは、その見返りに、韓国政府に、新たな基地と訓練施設のための75万ピョンの土地を米軍に提供するよう求めています。ミサイル防衛プロセスが始まる前に、アメリカは統合的な制空権を確保するための基地体系を準備する必要があるのです。4000万ピョンの土地を韓国の人々に返還することは、アメリカがパイの大きな一切れを国民に与えるようにみえます。
 しかし、実際にはそうではありません。返還が提案されている4000万ピョンの土地のうち、3900万ピョンの土地は、訓練施設として使用されたところで、米軍により放置されたも同然の、深刻に汚染された土地です。現在まで米軍は、その土地を保有し、国民の立ち入りを禁止してきました。その上、問題となっている基地や演習場は、米軍の新たな土地計画から除外されています。環境の見地から、4000万ピョンの土地の汚染された水や土壌はどうするのかと問いたい。SOFAによれば、韓国は、米軍による環境被害への補償を要求することはできません。韓国政府が回復のための膨大な経費を支出することになりますが、必然的に、その負担は、国民が負うことになるでしょう。汚染地域を回復するのに、どれほどの経費が必要なのかわかりません。しかし当面は、米軍から返還される土地に、一軒の家も、子どもたちの幼稚園さえ建てることができないのです。


4.米軍と人権
 

 韓国政府によれば、1999年に米兵は国民に対して、761件の犯罪を犯しました。このほとんどの場合、米兵は、処罰や被害者への補償もなしに釈放されています。2001年にやっと、韓国は、米兵の容疑者を起訴前に拘留する権利を得ました。
 6月13日、(2002年ワールドカップ開催地)ソウル郊外で、14才の女子中学生2人が、米軍の装甲車にひき殺されました。彼らは、友人の誕生パーティーに行く途中でした。訓練を終えてキャンプに戻る途中の米軍装甲車が少女たちをひき、彼らの体を踏みつぶしました。少女らの人生が花ひらかぬうちに消えてしまいました。政府が米軍に刑事裁判権の放棄を要請した翌日、米軍は会見をおこない、事故は勤務中に発生したため刑事裁判権は放棄しないと述べました。この事件を起こした戦車訓練施設および基地の閉鎖と、事故を起こした米兵の拘留をもとめて一連のデモがくり広げられました。日本で米兵が少女をレイプしたことに、クリントン前大統領が公式に謝罪したように、私たちは、特にブッシュ大統領による公式の謝罪を要求しています。韓国国民は、この悲劇を解決し、被害者の家族と韓国社会全体に正義をもたらすために活動を続けます。皆さんの連帯をよろしくお願いします。


5.いかに解決するか 
 
・米軍の活動による環境被害の調査・監視の継続
・SOFAの改定
・外国郡の軍事活動に対するPPPの適用を追求するための国際的協同

 2002年のSOFAの改定により、環境汚染が生じた場合、地方自治体の役人が米軍基地に入り、査察することができるようになりました。しかし、改定されたけれども、まだ実施されていません。依然として不公平なSOFAを改定させるたたかいがきわめて重要です。改定させても、米軍はそれを尊重しないのです。これは信頼の問題です。そのことは、アメリカと韓国の関係は、信頼にもとづいた関係ではなく、力にもとづいた関係であることを意味しています。

 米軍基地の被害で苦しんでいるのは韓国だけではありません。日本の沖縄、プエルトリコのヴィエケス、その他多くのところが、すべて同じような苦境におかれています。世界が21世紀に向けて戦争か平和かの岐路に立っている時、米軍基地により生じる諸問題の解決は、新たな国際問題になっています。この課題で各国の運動が共同と協力を発展させる可能性は高まっています。

 2002年12月9日-13日、アジア市民社会フォーラムがタイで開催されます。沖縄環境ネットワーク(OEN)や基地汚染除去ピープルズ・タスクフォースとともに、韓国緑色連合は、軍国主義、持続可能な発展、環境についての円卓会議を準備しています。私たちは、この問題を国連の会議で広めることができると考えています。さらに私たちは、南アフリカのヨハネスブルグでの世界市民社会フォーラムで、新しいパートナーシップ・イニシアティヴを打ち出しました。このイニシアティヴは、軍事活動による環境破壊防止のプロセスを民主化することをめざしています。米軍基地による被害をなくすために、国際連帯をいっそう発展させることを呼びかけます。


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ガン・テイク・チー
(マレーシア)

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「世界平和のためにイラクへのアメリカの戦争をやめさせよう」
公正な世界のための運動


 アラブ世界、「南」の国々、ヨーロッパだけでなくアメリカ国内でも、懸念する多数の人々が反対しているにもかかわらず、ブッシュ政権はイラク攻撃をおこなうことを堅く決意しています。
 大々的に宣伝されているこの動きの目的は、大量破壊兵器を製造し、イスラム教テロリストとつながりがあるとされているサダム・フセイン大統領を排除することです。しかしながら、前回の査察チームに参加した国連職員は、イラクは大量破壊兵器(WMD)を保持していないし、製造する能力ももっていないと述べました。実際、イラク政府は、国連の武器査察官に、イラクに来て、存分に納得できるような調査をするよう要請してきました。

 一方、イラクが大量破壊兵器をもっているとのアメリカの疑惑はまったくの偽善であることがあきらかになっています。アメリカのラムゼー・クラーク元司法長官は、最近、「アメリカは、その他の諸国全体の核兵器を一緒にしたものより大量の核兵器をもっている。アメリカは、生物・化学兵器をもっとも多く備蓄し、世界で最先端のかつ広範囲な大量破壊兵器の研究をおこなっている。…アメリカは、広島と長崎に原子爆弾を投下し、今もその行為を正当化し続けている」ことを強調しました。
 テロリストを支援しているというブッシュ政権のサダム・フセインに対する主張もまた、根拠のあるものではありません。9月11日の出来事の後、テロリストのネットワークについて広範な情報を収集してきたFBIでさえ、サダムとアルカイダあるいはその他のテロリスト・グループを結びつけることはしていません。世界中の平和を愛好する人々は、アメリカ政府に対して、大量破壊兵器を生産しテロリストネットワークを支援しているという立証されていない主張にもとづいて一つの国を攻撃し、その指導部を打倒し、罪のない多数の人々を殺害することが正当なことなのかどうか、問いたださなければなりません。

 いずれにせよ、イラクが大量破壊兵器を開発しようとしている、あるいは実際に保有しているという主張で、アメリカによるイラク攻撃を正当化することはできません。このことは、アメリカが大量破壊兵器を保有し、それらの武器を使用する明白な脅威があるからという理由で、イラクがアメリカを攻撃することが正当化されないのと同じことです。
 アメリカのイラク攻撃は、国連憲章と国際法に深刻で重大な影響をあたえることになるでしょう。国連憲章や、過去数世紀にわたって展開されてきた国際的な法の支配の諸要素は、国家間の紛争を解決するための平和的手続きを発展させてきました。大量破壊兵器に関わるバクダットとの紛争を解決するその他の方途を探ることなく、暴力や極度の威嚇に訴えることによって、アメリカは法の支配をまったく尊重していません。この問題に関連する安全保障理事会決議687号のような既存の国連決議は、安全保障理事会からの特別な認可なしに、アメリカが攻撃をおこなう権利を与えてはいません。
 冷戦終結以来、アメリカは国際的な問題において、単独主義的な外交を展開するようになっています。アメリカは、国際法や国際諸条約を無視する態度をとりつづけてきました。さらに、国際的な世論に留意することもほとんどありません。

 そして世界の人々も、超大国にはっきりと意見をつきつけるようになってきました。数十万人の人々が、抗議の行進やデモに加わり、数知れないほどの記事や投稿が新聞に掲載されてきました。最近の国際政治における諸問題の中で、この問題ほど、あらゆる分野のさまざまに異なる見解を持つ人々の意見がこれほど一致したことはありません。


日本における米軍基地の問題


 ソ連邦の崩壊後から何年もたちましたが、日本政府はアジア太平洋地域が不安定な安全保障状況にあると認識しています。この地域のいくつかの国々が、その軍事力を拡大あるいは近代化しつつあります。朝鮮半島において緊張が継続していることもまた、この地域をいっそう不安定な状況にしてきました。
 それに合わせるように、1996年4月、日本とアメリカは、日米安全保障関係が、21世紀のアジア太平洋地域において安定した情勢を維持するための基礎であることを再確認する共同宣言を出しました。残念なことに、1997年9月には、日米防衛協力のための新ガイドラインが両国政府により承認され、特に、日本や周辺地域の軍事基地やその他施設の異論の多い使用を含めて、米軍の活動を日本が支援することを再確認しました。

 アメリカのブッシュ大統領は、選出されて以来、ミサイル防衛計画を構築する計画を推進し、長年にわたって国際的な軍備管理のかなめとなってきた弾道弾迎撃ミサイルシステム制限条約(ABM条約)を反故にしてきました。アジア太平洋地域の諸国は、このことがこの地域における戦略的軍事バランスに与える影響を非常に懸念しています。日本のNGO諸団体は、中国、ロシア、北朝鮮のような近隣諸国が、自国の兵器保有を増強するか、あるいはこの新たな防衛制度を無力化する対抗手段をとるであろうと予測しています。アメリカの同盟国として、日本は戦域ミサイル防衛の開発に参加してきており、引き続き米軍に日本領土を使用させようとしています。ですから、ミサイル防衛プロジェクトはいずれも、日本領土と緊密に結びつけられたものとなり、日本の安全保障に重大な影響をもたらすことになるでしょう。

 環境、経済開発や文化の問題にもまた取り組まなければなりません。人口密集地域の近くにある軍事基地に駐留している多数のアメリカ軍人は、当然、近隣の日本地域社会の経済と環境に影響をあたえます。コカコーラ文化が日本国民、特に若者にあたえる有害な影響も予想されます。


反グローバリゼーションでの相互の協同


 グローバリゼーションに伴って、経済活動のすべてを世界規模の競争のもとに置くことが、普遍的なドクマ状態をつくりあげてきました。すべての社会や文化が、それが進歩の唯一の基準であるかのように、効率性と生産性の名のもとに再構築されつつあります。そのため、アジア太平洋地域における多様な宗教的・文化的伝統は、グローバルな文化に均質化される傾向に抵抗し、それに代わって、多元的で多文化の世界をつくりださなければなりません。それぞれの社会は、あい異なる文化や文明の固有性を維持し、多文明間の対話による人間共存の新たな規範を促進しなければなりません。あらゆる形態の紛争を回避することを求めつつ、このような対話は、文明の賞揚を活発にすすめることになるでしょう。ですから、アジア太平洋地域は、それぞれのコミュニティーにおいて、以下のことを促進しなければなりません。

―平和と安全保障は、不可分のものであり、生命や生活に対する外部の軍事的また非軍事的脅威からの保護を必要であることを認識する国際社会の展望。

―経済開発、健康、環境、平和と安全保障、人権、宗教と文化に携わっているNGOグループを結集させるようなより広範な地域的交流の努力。


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内藤 功


日本平和委員会代表理事(弁護士) 

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1 イラク攻撃を許すな
 
 国連安保理事会は11月8日、イラク問題に関する決議1441を採択しました。採択にいたる経過での最大の問題は、イラクが義務を履行しなかった場合、自動的な武力行使を米国に許すか、それとも自動的な武力行使を排除するかの点にありました。決議は全体として、戦争の回避を願う国際世論を反映して、自動的な武力行使を排除するものになりました。義務不履行があった場合、安保理事会に報告され、安保理事会が協議して次の措置が決定されることが明記されました。常任理事国のフランス、ロシア、中国三国が共同声明を発表し、「決議は武力行使におけるすべての自動性を排除した」と述べたことはきわめて重い意味をもっています。決議は、国連の枠組みのなかで、問題を平和的に解決する可能性を開くものとなりました。この可能性を現実のものとする国際社会の努力が、こんごきわめて重要となっています。
 そのためには、まず、イラクがこの決議を受諾することが強く求められていました。決議はイラクのクウェート侵略という重大な事実をふまえたものであり、無条件査察を受け入れることはイラクの国際的責務です。米国に戦争の口実を与えず、戦争を回避するうえでも決定的に重要です。イラクは13日、決議を受諾すると通告しました。これをうけて国連査察先遣隊がバクダッドに入りました。イラク問題は国連決議の枠内での平和的解決に向け足を踏み入れました。
 国連の枠組みを無視した、一方的なイラク攻撃の計画は放棄されるべきであります。米国を含む各国が三国共同声明に示される国際社会のコンセンサスを実行し、米英の一方的武力行使を許さないことが重要になっています。米国政府首脳は依然として国連の決定なしでも軍事攻撃を辞さないと述べています。それは国連憲章に違反した先制攻撃であり、自らも賛成した安保理事会決議の手続きも無視する二重の国連無視になります。戦争が、どれだけの犠牲者をだし、どういう結末をむかえるか。イラク攻撃が、中東全体を巻き込む大戦争、大動乱に発展しないという保証はなにもありません。先制攻撃という無法をいったん許すなら、21世紀の世界は、法の支配に代わって、恐怖と力が支配する暗澹たるものとなってしまいます。イラク攻撃計画の中止を強く求めるものであります。
 一連の経過は、戦争の危険は深刻だが、国際社会の努力により、戦争が不可避ではなく、国連の枠組みで平和的に解決できることを教えています。この行方は、世界各国と諸国民の世論と運動に大きく左右されます。戦争回避と平和解決の声を国際社会の多数派にするために、イラク攻撃は許さないという一点でいま世界が団結するときです。いま世界各地で「イラク攻撃反対」の数万人規模での大集会がもたれております。われわれの共同の意志として、「イラク攻撃反対」「国連憲章を守れ」を世界に向けて発信し行動を起こしましょう。


2 日本政府は「イラク攻撃反対」「協力拒否」を言明せよ。
 
 日本の小泉総理は、十月三〇日の国会での党首討論で「戦争によらない解決のための外交努力をする」と言明しました。しかし「イラク攻撃反対を言明せよ」との追求にたいして「イラク攻撃に反対する」という言明はしません。憲法第9条をもつ国の政府として「イラク攻撃反対」「日本は協力を拒否する」とはっきり言明するとともに、真剣な国際的な行動をとるべきであります。現に日本では、アメリカのイラクへの戦争計画にかかわるとみられる動きがあります。日本を足場とする米軍部隊の動きです。空母リンカーンおよびキティホーク戦闘群は日本に寄港してインド洋に向かいました。三沢のF16戦闘機部隊や佐世保の海兵隊揚陸艦隊の出動。横浜港に米陸軍輸送船、上陸用舟艇31隻の進出などです。11月11日から21日まで日本周辺で実施されている日米統合演習では、周辺事態と武力攻撃事態の同時発生という想定のもとに、海上での臨検作戦、市街地での戦闘作戦、外国での救出作戦を実施しています。政府は、インド洋アラビア海での海上自衛隊の任務を拡大し、P3C哨戒機、イージス艦を派遣し、輸送艦護衛艦の増強してイラク周辺への米軍基地用の資材を輸送し、臨検への支援を拡大する計画をしています。そのような状況のなかで、日本政府は、米国の起こす戦争に日本国家機構と国民を強制動員する法案・有事法制を国会に提出し成立を策し、重大な政治問題になっています。


3 有事法制を撤回せよ

 
 有事法制法案は、60年日米安保条約、97年日米軍事協力ガイドラインに源を発し、米国の起こす戦争支援のため、日本国民の自由と権利を奪う動員法制であります。そのねらいは現情勢下では、アメリカのイラク攻撃を助ける日本を「戦争をする国」に変える危険なたくらみです。日朝国交正常化、東北アジアでの平和の関係を構築するうえで、有事法制は、むしろ、アジアと世界の平和への大きな流れへの逆行であります。世論と運動をひろめ、今開かれている臨時国会会期で、成立を断念させ、廃案にさせる。この闘いは、世界平和にとって大きな役割を担っています。


4 日朝平壌宣言と東アジアの平和
 
 9月17日、日朝首脳会談が行なわれ、日朝平壌宣言が調印されました。北東アジアで、日本と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との関係が敵対から友好へ変わることは重要な意義をもちます。かりに相手が国際ルールを守らない政権であるとしても、そうであればあるほど、日本は軍事一本やりでなく、冷静な理性ある態度をとる必要があります。
 日朝関係の今後はどうか。拉致問題は、解決に向けて第一歩をふみだしたところです。被害者と家族、日本国民の納得できる形での解決が今後の課題です。北朝鮮の核兵器開発について、日朝平壌宣言は「朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連国際的合意を順守する。核、ミサイル問題を含む安全保障の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図る」「国際法を順守し、互いの安全を脅かす行動を取らない」「北東アジア地域の平和と安定の維持強化のため、互いに協力する」ことが明記されています。交渉の前途は予断を許されないが、日朝平壌宣言にしたがって道理と理性をもって解決を図るべきであります。94年の北朝鮮核開発をめぐっては、米国は北朝鮮の核施設を攻撃しようと計画し、戦争の瀬戸際までいきました。しかし、今回は、戦争に訴えるという声は出ていません。「平和的解決」で意見が一致しています。この地域での戦争への逆転はもはや簡単には起こらないし、起こしてはなりません。
 大きな目でいえば平和の方向へ確実に前進しています。世界とアジアと日本の問題を解決する上で、戦争と暴力による解決ではなく、話し合いによる解決をする。その不断の努力の到達点に確信をもち、力と知恵を集めて平和のため闘い続けましょう。
                               

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高橋 和枝


新日本婦人の会副会長

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「イラク攻撃反対、国連の枠内での平和解決もとめる国際的共同さらに」

 戦争か平和かの重大な時期に開かれている、この日本平和大会の国際シンポジウムで報告する機会をいただき、ありがとうございます。私は昨日から討論されているイラク問題をはじめとする各国の運動と国際的な連帯を発展させる条件がどこにあるのか、という問題について発言したいと思います。

 1、私がまず強調したいのは、私たち諸国民の世論と運動と、各国政府・国連との共同した力が、共通の平和の目標を達成するうえで重要な意味をもちつつあるということです。
イラクの大量破壊兵器査察問題をめぐって、国連安保理が全会一致で自動的な武力行使を排除した決議1441を採択したことは、きわめて重要です。この決議は武力行使をねらうブッシュ米政権の思惑を拒否し、国連憲章にもとづく平和的解決を願う世界各国の政府と諸国民の世論をつよく反映したものです。新日本婦人の会をふくめ、日本の諸団体もこの決議を歓迎し、アメリカはイラク攻撃計画を中止せよ、無条件査察を受け入れたイラクは誠実に応えよ、国連の枠内で平和的に解決せよと行動をくりひろげています。
 今年、広島・長崎で開かれた原水爆禁止世界大会ではマレーシアやエジプトなどの政府代表が参加し、スウェーデンや南アフリカなど8ヵ国の元首からメッセージがよせられました。原水爆禁止世界大会は、半世紀にわたって世界の反核平和運動を結集する重要な役割を果たしてきましたが、それに加えて核兵器廃絶をめざす諸国政府との共同がすすみ、運動の新しい前進がきりひらかれつつあります。世界の平和運動と各国政府の共同は覇権主義の横暴をおさえ、21世紀の平和をきりひらく新たな力となるものと確信しています。
今回のイラク問題でも、安保理決議にしめされた「国連の枠内での解決」を求める諸国政府の意思は、イラク攻撃を許さないという、私たちの立場と同じ方向をめざすものです。ここに、諸国民と各国政府の共同の条件があり、この力があいまってこそ、問題の平和解決の大きな展望がみえてくるのではないでしょうか。

 2、次に強調したのは、今日、平和運動と社会運動との共同・連帯によって、これまでにない広さをもった市民の運動がつくられつつあることです。
欧州社会フォーラムが開かれていたイタリアでのイラク攻撃反対100万人デモなどにみられるように、それは、アメリカの覇権主義の横暴が軍事・外交にとどまらず、経済のグローバル化のなか顕著であり、これらに反対することが共通の課題となっているからです。この発展の芽に注目し、大きくのばしていくことがきわめて重要だと思います。
 日本では、この日本平和大会も原水爆禁止世界大会も、平和団体だけでなく、労働組合、中小業者や農民、医療団体などの組織、女性団体や青年組織、学者・文化・宗教者の団体などさまざまな分野の団体がいっしょに実行委員会をつくって、毎年開催してきた歴史と伝統があります。イラク攻撃反対やアメリカの戦争に日本国民を動員する有事法案廃案をもとめる集会やデモ、国会要請行動なども各種の団体がともに行動しています。
この背景には、唯一の被爆国であり、侵略戦争の深い反省から戦争放棄の憲法をもつ日本の団体として、女性をはじめどの分野も平和の課題を大事に出発したこと、また戦後のアメリカによる軍事・政治・経済的支配のもと、日本では平和も経済も独自に鋭い矛盾をもち、同時に関連し合っており、平和を闘争課題としてつねにかかげる必要に迫られる現状があります。
最近日本でも、有事立法反対で陸上や海上輸送、航空関係の労組、キリスト教をはじめ宗教者との共同がつよまり、数万規模の集会がくりかえし催され、地方でも共同がひろがっています。地方自治体も全体の6分の1以上の550自治体が反対を表明しています。
 経済のグローバル化のもと、アメリカの一国主義的な横暴に反対する世界的な運動の新しい発展と、平和運動を社会の各層の運動との共同によって発展させてきた日本の運動の経験をお互いに学びあい、連帯し、イラク攻撃反対、戦争やめよ、アメリカの一国覇権主義を許すなと、世界的共同をいっそうひろげていくことを訴えたいと思います。

 3.最後に、各国で草の根の平和運動をいっそう発展させる問題です。
 私たち新婦人は創立40周年を迎えた個人加入の女性団体で、20万の会員、30万の新聞読者をもっています。この1月から取り組んできた「輝け憲法! はばたけ新婦人」の創立記念運動を持ち寄って記念日の10月19日に開催した集いは、色とりどり憲法タペストリーがあふれる会場に9000人をこえる参加で大成功しました。この集会では、世界の女性たちへのアピール「アメリカによるイラク攻撃計画をやめさせ、国連憲章にもとづく世界平和を築くためともに手をたずさえましょう!」とブッシュ米大統領と小泉首相あての要請決議を採択しました。イラクによる国連決議の受諾後の11月16日には緊急デモもおこないました。
 新婦人は、男女平等はもちろん、くらしや福祉、教育、環境など女性のあらゆる要求の実現を目指す女性団体です。同時に、会の目的に、核戦争阻止、憲法改悪反対、世界平和への国際連帯など、平和の課題をかかげ、日本の女性として何よりも命と平和を大切にする立場を明確にしています。
 だからこそ私たちは、今回のイラク問題など、時どきの平和の問題についてすばやく会としての態度表明をおこない、週刊の新婦人しんぶんをつうじて全国の会員に届けることを大事にしています。さらに、全国で1万をこえる班から会員を主人公にした草の根の運動を大切に、学習や宣伝・署名、国会行動、集会などさまざまな工夫をしています。悲惨な戦争体験をもつ会員やベテラン会員がまず先頭に立ちますが、20代、30代の会員も、戦争が遠い国の話ではなく、わが子とイラクやアフガニスタンの子どもたちの命の重さは同じと気づくと、子どもづれで公園を次つぎまわり、手作りの紙芝居を上演して署名をあつめるなどすごい力を発揮しました。どこでも対話すれば「戦争はいやだ」と署名してくれます。新婦人新聞や平和委員会のパンフ活用、連続セミナーなど学習や話し合いが力です。会員や女性たちからカンパを集めて、新聞への意見広告や意見ポスターづくりもさかんです。
 私たちは女性団体の共同をひろげる努力もつよめています。新婦人も参加する国際婦人年連絡会は、日本の主要な女性団体が結集する連合体で、一致点での行動を基本にしていますが、イラク攻撃反対や有事法制問題で決議をあげています。「女性の憲法年」連絡会は5月3日の憲法記念日に「朝日新聞」、4月25日に韓国「東亜日報」に意見広告を掲載。新婦人はこれをポスターにしてカンパ運動を促進し、支えました。各地でもYWCAをはじめ、多くの女性団体との共同がひろがっています。
 新婦人が今年、中央段階で労組をはじめ各種団体ととりくんだ平和の共同行動の日数は、集会やデモ、宣伝など主なものだけでも70日に及びます。この中には毎週の国会行動を入れていませんし、地方の行動も含めると大変な数になるでしょう。私たちはそのつどメディアに取材を申し入れ、中央段階では多くが無視されますが、地方ではテレビの放映、新聞掲載も少なくありません。
 重大な情勢のいま、草の根の運動と幅広い共同をさらに強化する重要性を感じています。

 先日、新婦人は、ブッシュ大統領あてのひとことメッセージ500人分を大使館に届けました。そのなかに次のような声がありました。「日本に来て広島と長崎を訪れ、被爆者の声を聞いて下さい。イラクの子どもたちも大事な命を与えられて生まれてきたのです」。新婦人は今夏、日本母親大会や原水爆禁止世界大会に参加した、9・11家族の会のリタ・ラサルさんや韓国緑色連合のキム・ジェナムさんらと交流しました。東京と広島で開かれた、バーバラ・リー下院議員との懇談会には井上美代会長・参議院議員が出席、交流しました。アメリカはイラク攻撃計画を中止せよ、国連憲章を守れと国際連帯をさらにつよめるとともに、小泉首相は戦争反対を明言せよ、戦争協力するな、有事立法は廃案にせよと全力でがんばる決意をのべて発言を終わります。ありがとうございました。

パネリスト・ゲストのプロフィール



イ・ユジン(女性)韓国
韓国緑色連合 国際担当

韓国緑色連合は、韓国有数の環境問題にとりくむNGO。環境保護の視点から米軍の基地被害の根絶をめざして活動している。訴訟団や環境調査専門家グループを独自に組織し、基地問題訴訟や被害告発にとりくんでいる。イさんは、先にひらかれた南アフリカ・ヨハネスブルグでの世界社会サミットで、米軍基地問題での討論やパネル展を企画。多くの政府代表や広範なNGOが参加し、韓国政府も対応にのり出さざるを得ないほどの成功をおさめた。また、名護の米軍基地反対集会に参加するなど、日本の運動とも関係が深い。



ガン・テイク・チ−(男性)マレーシア
「公正な世界のための国際運動」全国委員・弁護士

来年非同盟諸国首脳会議がひらかれるマレーシアからの参加。「公正な世界のための国際運動」は、昨年、参加したR・マッコイ氏(国際反核医師の会会長)が副会長を務め、現代の世界で生まれている人権抑圧、差別、貧困などの不正義の解決をめざして国際的な活動を展開している市民団体。N・チョムスキーやJ・ガルトゥングなども寄稿するなど、平和問題にたずさわる著名人も多数協力するなど、はばひろい人々が参加する運動体となっている。



ジョアンヌ・コマフォード(女性)アメリカ
アメリカ・フレンズ奉仕委員会

同時多発テロ犠牲者、日本の被爆者などによって構成されるグループを組織して、戦争と暴力、軍事政策を告発・批判する全米遊説ツアーの中心を担ってきた。同ツアーは、大きな反響をよび、彼女自身も「いまや反戦運動に冷淡」といわれるアメリカのマスメディアにも度々登場し、学生の集会では2000人近くが参加するなど、大きな成果をあげた。また、イラクにも度々現地調査で訪問するなど、世界各地の「現場」をリアルに告発しながら、平和で公正な世界の実現をよびかける。



ケリー・ギャラガー(女性)アメリカ(特別ゲスト)

マサチューセッツ州で最も大きな教会で牧師をつとめる。本人の強い希望で、コマフォードさんに同行して、日本平和大会に参加する。