2009年大会INDEX

2009年日本平和大会in神奈川 開会総会における海外代表あいさつ

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イ・ジュンキュ
(李俊揆)

労働者代案社会学習院講師

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2010年に向けての課題-朝鮮半島からの視点

 韓国から来ました李俊揆と申します。今回は平和大会にお招きいただき、ありがとうございます。
 私は平和大会は、今年が初めてなのですが、原水爆禁止世界大会や他の集会でお会いしたことのある方々がおられると思います。特に、私にとって、平和大会のテーマがアメリカとの軍事同盟であるというのは意味深いのであります。

 皆さんご存知のとおり、韓国、朝鮮半島は、日本のように、もしかしたら日本より、アメリカとの軍事同盟の影が濃く垂れ下げられています。それは北朝鮮の核問題を巡った朝鮮半島情勢を見ると、すぐわかります。
 最近には朝米両国間の両者会談が予定され、膠着している朝鮮半島の情勢に突破口ができるのではないかという期待感が現れています。もちろん、 北朝鮮とアメリカの直接対話が何らかの成果を出せるか、6者会談などの多国間協議の再開につながり北朝鮮核問題解決プロセスの再開ができるだろうかなど課題は残っています。関連当事者の対応と国際環境によって今後の展開の行方は決められるのでしょう。
 紆余曲折もありました。今年4月5日北朝鮮の「人工衛星実検」、それに対しての韓·日·米主導の対北朝鮮制裁、5月北朝鮮の2回目の核実験がその例であります。20年近く進展と膠着が繰り返されている「北朝鮮核問題」の歴史のなかで、平和大会のテーマに直接関わっているいくつの問題に注目する必要があります。「同盟政治への執着」のもたらした結果なのであります。

 2回にわたる北朝鮮の核実験の際、韓日両政府はアメリカの提供している核の傘を確実なものにするために動いていました。韓国のイ·ミョンバク政権は今年6月の韓米首脳会談で、「核の傘の提供」を共同声明に明文化したことを最大の成果として宣伝しています。しかしそれは「核兵器のない世界」という世界史の流れに反することであります。「北朝鮮の脅威に対応する」という名分で進展している米·日·韓のミサイル防衛(MD)はむしろ、旧来の「米·日·韓VS中·ロ·北」という陣営対立構図の復活に繋がりかねない状態であります。
 しかも「再編」という名の下で行われている同盟の変化は、最近韓国でイシューになっている「作戦計画5029(operational plan 5029)」のように、その攻撃性を強めています。「作戦計画5029」は「北朝鮮有事事態」を想定し米軍と韓国軍-韓米連合軍-の軍事的介入を設定しています。想像したくもないのですが、だとえそのような北朝鮮の「有事事態」が起きても平和的な解決の方法を探るのが常識であります。しかし同盟のなかで行われているのは、その正反対であり東アジアのカオスを招きかねないことなのであります。
 発想を転換すれば、今現在は東アジアにおいてひとつのチャンスかもしれません。そのようなチャンスを活かすためには何よりも、「北朝鮮核問題」を「東アジアの中の朝鮮半島問題(Korean Question in East Asia)」という視点で捉えなければなりません。平和協定や朝米関係の正常化、日朝関係の正常化が北朝鮮の核問題解決のプロセスに「同時並行」として含まれるべき理由でもあります。
 ひいては、同盟の政治からの脱却です。 肝心なことは韓国と日本の市民、東アジアの市民が現実のなかの可能性の空間を活用できる想像力を働かすことであると思います。その一歩が同盟の政治から思考の解放なのであります。そのなかで、「自国安全の確保のために」ではなく、「共通の安全と平和のために」を実現できる「多国的・多者的」ビジョンへの前進もできると思います。

 NPT再検討会議、日米安保50周年、日本による韓国強制併合100周年を迎える2010年をその前進に向かって大きい一歩を踏み出す年にするために頑張りましょう。
 ご静聴ありがとうございました。